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  [US] 米国連邦最高裁判所におけるRomag Fasteners v. Fossilの判決

米国連邦最高裁判所におけるRomag Fasteners v. Fossilの判決

202042日、米国連邦最高裁判所の米国連邦商標法第1125条(a)上、商標の侵害によって被告の利益額に基づいた損害賠償を認定するために、被告の故意は求められないと判事した。

法的争点

対象判決の法的争点は、米国連邦商標法第1117条(a)において、商標の侵害による損害賠償額の算定方法に対して規定しているが、その規定に基づいて、米国連邦商標法第1125条(a)上、商標の侵害行為に対し、被告の利益額に基づいた損害賠償を認定するために、被告の故意が求められるか否かである。

現行の米国商標法第1117条(a)は、ⅰ)米国商標法第1125条(a)の定める商法の侵害行為、即ち、商品の出所の許容表示行為、消費者を誤認・混合させる行為を行った場合と、米国商標法第1125条(c)の定める商法の侵害行為である「有名商標の識別力に便乗する行為(blurring行為)」と、「有名商標の著名性を損なう行為(tarnishing行為)」、所謂、「希釈行為(dilution行為)」を故意に(willfully)行った場合に、ⅱ)原告は、損害賠償により、①被告の利益額(defendant’s profits)、原告の損害額(any damages sustained by the plaintiff)、③訴訟費用(costs of the action)を受けられると規定している。

対象判決が言い渡される前に、米国の「6つ」の巡回区控訴裁判所である①第1巡回区控訴裁判所、②第2巡回区控訴裁判所、③第8巡回区控訴裁判所、④第9巡回区控訴裁判所、⑤第10巡回区控訴裁判所、⑥D.C.巡回区控訴裁判所は、米国商標法第1125条(c)でない、米国商標法第1125条(a)の定める商標の侵害行為に対しても、原告が被告の利益額に基づいた損害賠償を獲得するための前提条件として、被告の主観的要件、即ち、「故意」を要求する法理を採用しており、その一方で、他の「6つ」の巡回区控訴裁判所である①第3巡回区控訴裁判所、②第4巡回区控訴裁判所、③第5巡回区控訴裁判所、④第6巡回区控訴裁判所、⑤第7巡回区控訴裁判所、⑥第11巡回区控訴裁判所は、米国商標法第1125条(a)の定める商標の侵害行為に対し、原告が被告の利益額に基づいた損害賠償を獲得するための前提条件として、被告の「故意」を求めない法理を採用している。

連邦最高裁判所の判示内容

連邦最高裁判所は、ⅰ)本事件は、「商品出所の虚偽表示行為」という、米国商標法第1125条(c)の定める商標の侵害行為でない、米国商標法第1125条(a)の定める商標の侵害行為が問題となった事件として、米国商標法第1117条(a)は、明文で米国商標法第1125条(a)の定める商標の侵害行為に被告の利益額に基づいた損害賠償を認定するための前提条件として、被告の「故意」を求めておらず、ⅱ)Fossil社は、米国商標法第1117条(a)の言及する「衡平法の法理に基づき(subject to the principle of equity)」というフレーズに基づいて、歴史的に衡平法裁判所は、商標事件で被告の利益額に基づいた損害賠償を認定するために、被告の「故意」に対する証明を求めてきたと主張しているものの、それは妥当ではなく、ⅲ)本事件に示された証拠によると、歴史的に米国商標法が被告の利益額に基づいた損害賠償額を認定するために、被告の「故意」に対する証明を求めてきたと判断することができないため、ⅳ)米国商標法第1125条(a)の定める商標の侵害行為に対し、被告の利益額に基づいた損害賠償を認定するために、被告の「故意」は求められないと判示すると同時に、連邦巡回区控訴裁判所の判決を破棄して差し戻した。

意味及び示唆点

連邦最高裁判所のRomag Fastenersの判決は、米国商標法第1125条(a)上、商標の侵害行為に対し、被告の利益額に基づいた損害賠償を認定するために、被告の故意が求められないと明示的に判示している点において、意義がある。

Romag Fastenersの判決の宣告により、本事件の法的争点に対する米国巡回区控訴裁判所との間の法適用上の混乱は解消することになった。今後、12の巡回区控訴裁判所と、94の地方裁判所とは、本事件の法的争点に関連し、同様の法理を適用しなければならないため、米国連邦商標法に基づいた商標侵害訴訟において商標権者が自らに有利な裁判管轄(venue)を探す「フォーラムショッピング(法廷地漁り)」が減少すると予想される。

Romag Fastenersの判決は、被告の利益額に基づいた損害賠償を獲得しようとする商標権者に、被告の「主観的要件」に対する証明という「法的障害物」を取り除くことで、商標権者が被告の利益額に基づいた損害賠償を獲得するのに有利な法的環境を整えた。

 

出所:国際知識財産権法研究センター


 
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